自宅マンションの改修、そして今工事をしている事務所の改修、いずれもDIYでリノベーションをしています。なぜDIYをするのか。大元の理由は外注する初期投資がないことにありますが、お金がないなりに満足のいく空間にしたいというのが1番の理由です。意外とやる気と時間さえあればできるもので、プロの仕上がりにはなりませんが、気持ち次第でできるものだと思います。まわりから見るとDIYが好きな人なんだな、という風に思われているかも知れません。物を作ったり手を動かすことは好きなので、DIYをすることには抵抗はありませんが、自分で手掛けることで愛着を持たせるとかそういうことは全く思っておらず、頼めるものなら頼みたいというのが本音です。
さて、DIYをする理由はもう一つあって、本職は設計図を描き、それを職人さんが図面通りに作っているかを監理するのが設計者の仕事になりますが、DIYをしていると職人さんの言っていること、苦労するところが実感できます。巾木や廻縁がない納まりがいかに手間がかかるか、自分で作ってみるとよくわかります。図面通りに切った材料を組むと、少し寸法が延びたりする。材料自体の厚みが違う。反っている。ねじれている。その中で水平垂直に(見えるように)材料を納めていくのはものすごく手間と労力がかかります。そういった材料や施工精度を鑑みて逃げのある寸法を設定してあげる必要があると思うのですが、設計だけしていては作る人の気持ちがわからないもので、DIYをするようになってから作り手の気持ちがわかるディテール、というものを意識するようになりました。時間がかかることはそれだけ人件費がかかりますから、施工サイドとしては、簡単に早く、逃げが効く建材を好みます。ただ、人件費がかからないための合理性の追求と中途半端な意匠の建材が多く、そういったものが綺麗な空間に仕上がるのかというのはまた別の話で、その辺りの加減が難しいところなのですが、綺麗に、早く、すっきりと納まる詳細図を描く時の醍醐味でもあります。僕にとってDIYをしている理由は、納まる(納められる)設計図を描くためでもあるということです。
当アトリエの事務所である RE:KAA GALLERY は、多分折り返し地点を過ぎました。まだしばらく工事が続きますが、10月には事務所機能を移せるように取り組んでいきます。
