top of page

ノウル 2期住居棟プロポーザル

岩手県紫波町/長屋/プロポーザル

*次点、unbuild

PURPOSE OF DESIGN

設計趣旨

 このプロジェクトは、岩手県紫波町にある旧長岡小学校をまちの新たな拠点として整備するノウルプロジェクトが進行しており、新たに共同住宅を整備するためのプロポーザルである。断熱等級6以上の高性能な住宅であるとともに、敷地内の庭(ノウルガーデン)との関係性を求められていた。

 本提案では、北側に位置するノウルガーデンとの関わりを重要視し、全ての住戸がノウルガーデンに面することができるメゾネット型の長屋を提案している。「農と食」が全体のテーマとなっており、各住戸の出入り口を南側の駐車場側ではなく、北側のノウルガーデン側に設けることで生活の中で常にノウルガーデンを感じられること、出入り口に面してダイニングを設けるともに、住戸とノウルガーデンの間に共用のテラスや畑を計画し、1階を外部空間と連続していくパブリックなスペースとして計画している。開かれた1階に対して、レイヤーが異なる2階は住まい手の居場所として位置付け、プライバシーを確保できる計画とすることで、パブリックとプライベートが共存できる住戸を目指した。

 住戸は4095mmの間口として、区画が必要な水まわりスペースを極力細く計画し、オープンにできる間口を最大限化することに努めている。各スペースは間仕切戸によって仕切る形とし、それぞれの住まい手が持つパブリック性、確保したいプライバシーの度合いに合わせて、自由に居場所を選択できるようにしている。建築基準法の観点からも、居室と非居室の区別をつけるため、空間に対して室名を付けることが当たり前となっており、室名が住まい手の空間の使い方を限定してしまっている。この提案では、それぞれのスペースに室名を名付けず、「つながる1階」と「居場所の2階」と呼び、パブリックとプライバシーの度合いを設定することだけに留めている。この提案は、nLDKという表示に捉われた賃貸住宅、ひいては住宅における住まい手の暮らし方を限定してしまう「室名」というものへのアンチテーゼを込めた提案にもなっている。住まい手によって生活スタイルは異なる。しかし、賃貸住宅という特定の誰かのために作ることができないクライアント不在の建築は、nLDK主体となり、住まい手の暮らしを標準化させることにつながっている。

 誰が住むかわからない賃貸住宅に対して設計者は何を提案すべきなのか。住宅建築における公共性とは何か。暮らしとは何か。それらの根本を考えさせられるプロポーザルであった。

ロゴフォント02.png

Creating whereabouts for the people and the places  with Sophisticated architectual design from SENDAI in JAPAN
Copyright @2023 KAMEOKA ARCHITECTUAL ATELIER  Co.,Ltd. All rights reserved.

bottom of page