RE:HOUSE-KU
山形県山形市/住宅/木造2階建/リノベーション
PURPOSE OF DESIGN
設計趣旨
クライアントとの出会いについて話しておきたい。クライアントとの出会いは約18年前、当時私は大学生で、授業外で山形市内に残る蔵をテーマに利活用などを考えて活動している学生主体のグループに入っており、企画したイベントの参加者として来てくださったことが初めての出会い。当時まだ小学校低学年だった女の子が大きくなり、ご結婚とお子様の誕生を期にご両親と2世帯で住む構想が持ち上がり設計を依頼していただいたという、大変ご縁を感じているプロジェクトである。
この物件は、本間利雄設計事務所という山形を代表する設計事務所が手がけられた建物で、別荘として昭和57年に建てられた建物である。築年数40年を超えており、設備機器などはすでに寿命を超えている状態であったが、持ち主がメンテナンスをきちんと施していたこともあり、そのままにしても差し支えない部分が多くあった。この建物の改修計画を考える上で最も重要視したことは、なるべく壊さず、既存の魅力と新しい部分が共鳴し合うように、改修後の状態が今までもそうだったかのような、違和感を感じさせない計画に徹している点である。
外部については、屋根の塗装改修を行い、外壁周りは劣化が酷い箇所や生活している上でよく見えてくる木部の改修にとどめた改修としている。敷地境界に塀としてあった目隠し板は撤去し、杉の貫板をこれまでと同様に内外から張り付けウッドロングエコを塗布して仕上げている。内部については、LDKの一部をシュークロークとして若干の間取り変更を行なっているが、壁天井は既存のままで、仕上のみの改修を基本としている。既存は主要な室が絨毯となっており、普段の生活上で少し使いづらさもあったため、フローリングに改修している。床材は表面に3mmほどの突板が貼っているものを採用しており、選べる樹種の豊富さや6尺材があること、節なしの綺麗な表面にできるため最近では無垢よりも突板フローリングを採用するケースが多くなっている。2階については絨毯敷きと畳敷きだった大広間をフローリングに改修して、左官仕上の壁の補修、壁紙の張り替え程度とし最小限の改修となっている。
設備については、キッチン、浴室、トイレ、給湯器など、水回り設備は一新。建築家のこだわりを感じるタイル張りの浴槽は大変名残惜しい部分ではあったが、給排水管の劣化や自動湯はり、追い焚きなどの機能も持たせたいため、壁天井の板張り部分はそのままとして、モールテックスによる改修を行い、置きバスタイプの浴室に改修している。キッチンは2世帯で料理を行う想定で、壁付のコンロ側とシンク側のアイランド型を造作し、親子揃っても広々と調理ができるようにしている。素敵なインテリアをお持ちのクライアントでもあり、今回も造作キッチンで仕上げ、家具、建築で使われている本物の材料に対して相性良く仕上げている。
デザインのやりとりは、クライアントのお父様と進めていった。大学を卒業してからも個人的にお付き合いさせていただき、お互いの価値観をよく知っていたこともあって、ほとんどのことを任せていただいた。元々の持ち主がワイン好きということでワインレッドのカラーが内部建具やソファの生地に使われていたが、クライアントの意向もあって建具の色は既存のままとなっている。クライアントが元々の建築家のデザインをリスペクトしていることも大変稀なことで、個人の趣味趣向を超えた、施主がデザインするという感覚を持っていたことがこの改修がうまくいっている最も大事な点だと感じている。
住宅をデザインすることとは何か。自分の好きなように作ることが注文住宅であり、規格住宅ではできない自分のこだわりを表現できる。しかし、この住宅のように、元々他の誰かのために作られた建築のほとんどを残しているようなリフォームやリノベーションで作り上げた建築が、自分の好みで作った注文住宅より劣っているとは考えずらく、むしろ注文住宅を超えているような魅力を感じるのは私だけではないと思う。誰かのために作られたものが、他の誰かにとっても魅力的で豊かだと思わせてくれる力がデザインにあることを証明してくれているのである。自分の好き勝手に作ることが本当に自分にとって良い住宅で、クライアントからヒアリングした内容をCADオペレーションのようにまとめ上げていくことが、おそらくベストではないはずである。自分の好きなことと、デザインという客観的な視点で物事を捉え直した時に、自分の好みがその場所に合わないということもある。自分の好きを表現し、同時に自分の好きに執着せず、空間の魅力に委ねて自分自身の暮らしをポジティブに変えられる寛容さがあって、暮らしも建築も良くなっていくように思う。
REPORT
工事の様子

































